(朝日新聞 千葉版 2012年3月30日)
家庭ごみなどを燃やした焼却灰から放射性セシウムが検出された問題で、汚染灰をどこに一時保管すればいいのか、場所選びが混迷している。県が提案する手賀沼終末処理場は地元の我孫子市が猛反発。柏市で浮上した国有地案は関係省庁の足並みがそろわず、まとまる状況にはない。
◇省庁間も足並み乱れ
一時保管場所として、国有地の中で候補に浮上しているのは、柏市柏の葉5丁目にある東京大学柏キャンパスに隣接する約5・2ヘクタール。現在は財務省が管理している。
同省千葉財務事務所によると、昨年12月、柏市から本省に、国有地の提供の依頼があったのがきっかけ。交渉の中で「一定以上の面積がある土地」という理由で、市側から同所の提供について相談を受けたという。
東大に売却予定だが、東大側の具体的な利用計画はなく、売却時期も決まっていない。同事務所は「柏市から正式な要請はまだだが、助けてほしいという説明は受けているので財務省としても何とかしたい」と前向きな姿勢を示す。
一方、原発事故対応を所管する環境省は、保管場所のあっせんや土地提供に否定的だ。
1キロあたり8千ベクレルを超える指定廃棄物の一時保管に関する費用については国が責任を持つことになっているが、用地の確保は市町村の責任となっている。
「地域の合意が取れていればどのような用地であろうが構わない。だが、県が保管場所について調整している中で混乱させるようなことは控えたい。国有地を提供するというのなら、こちらに話があってしかるべきだ」(水・大気環境局)
財務省は、柏市以外の東葛地域の自治体から同様の国有地提供の要請があった場合について、同じように検討するとしている。
だが、一時保管は長期にわたることも考えられ、最低でも数千平方メートルの敷地が必要とされる。「現実には東葛地域内での候補地は東大隣接地しかない」(千葉財務事務所)という。
◇県、再び説明会を提案
県は29日、焼却灰の一時保管問題で、関係5市との会議を開き、我孫子と印西両市にまたがる手賀沼終末処理場を候補地とする県の提案について、改めて住民説明会の開催を提案した。
会議は松戸市内であり、非公開で行われた。終了後に会見した坂本森男副知事は県主導による両市周辺の住民説明会について、「できるだけ早く、4、5月にはやりたい」と話した。
我孫子市議会は説明会の拒否を決めたうえで処理場案の白紙撤回を求める決議をしている。県は「一度も話を聞かずに白紙撤回は理解しかねる」(坂本副知事)とする一方、印西市議会とは日程調整を進めていく方針だ。
また、国が提案した柏市内の国有地案について、坂本副知事は「柏市から話はあったが、正式ではない。管理態勢もそれほど簡単ではない。(県としては)一時借用は考えていない」と否定的な考えを示した。